2021年11月1日月曜日

『Spukhaus #01』

  ヴォーカルのサトウナオヤです。

 昨日、Bandcampに『Spukhaus #01 : Home​-​Recorded Songs 2021』という、6曲入りEPを無料配布し始めました。

 (※期間限定ボーナス・トラック2曲あり。)

 『Spukhaus #01』は「シュプークハウス・ゼロイチ」と読みます。
 „Spukhaus“は独語でお化け屋敷という意味で「シュプークハオス」でも良いです。„#01“は「ヌマー・アインス」とかではなく「ゼロイチ」です。

 なんでナンバリングがあるかというと、今後も宅録デモみたいなのが溜まっていったら、こういう風に定期的に無料配布するのがありかなと思ったからです。


 (ボーナスの8トラック目を除く)全て筆者一人で演奏しミックスした宅録デモ音源です。
 無料配布だし、全収録曲に統一された主題みたいなものがあるわけでもない割に、結構いいトラックを集められたような気がします。
 とはいえセルフ・ミックスだし、ぶっちゃけ全体的に荒いと思ってます。特にリハスタに機材を持ち込んで限られた時間内で録ったヴォーカルには不安定なところが多いし、連発する高音がややキンキンするところもあって、早く歌い慣れてバンド演奏での正式な音源をお届けしたい気持ちがあります。

 正直なところ、折角のバンド名義なのだから、初っ端からソロでのリリースなんてすべきではないと思っています。

 じゃあなんでこんなのを作ったかというと、1曲目の“バンシー・キョンシー・スプーキーエレジー”(以下、“BJSE”。口頭では「バキョスプ」とでも略して下さい。)を10/31に発表したかったからなんですね。

 リンクはSoundcloud。世界で初めてかも知れない「ぼっちハロウィン讃歌」です。中々面白い曲になったので、シーズン関係なく皆に聴いてもらいたいです。


 2021年初頭ぐらいに、「魑魅魍魎が跳梁跋扈するような曲は色々作ってきたけど、何かハロウィンっぽい曲があったら面白いかな。」とかぼんやり考えてたんですが、そのあとコード進行だけ思いついて8月ぐらいまで放置しておりました。

 元々バンドでスタジオに集まった時にその場でセッション的に組み立てられたら良いなと思ってたんですが、セルフカヴァー曲の完成度を上げていかなきゃいけなかったし、頻度的にも着手する暇が作れなかったのです。
 それに他の新曲がどんどん出来てしまったんですよね。2021年の筆者は新曲オバケになってしまっていたため、パワーのある新曲が10曲以上も脳内に落ちてきてしまいました。

 一応こっちに歌を乗せようとしたんですが、雰囲気は出来てもどうも上手くはまらない。それらしい光景のイメージは頭に過るんだけど、どうしてもコンセプトが先んじてしまっている所為で変に演出的になってしまって、自己の中の切実で生々しい部分から響いてくるような歌が出て来ない。
 Bメロは7月くらいには思いついていたと思うのだけど、Aメロが全然まとまらない。コミカルにしようと思えば思うほど嘘臭くなってしまって、「ハロウィンの曲なのに今年の10月末までに発表出来ないかも……。」という状況が続きました。

 でも、曲なんて結局「作るぞ!」と思ったところで、曲の方から落ちてきて自分がそこに構えない限りは大したものは出来んわけです。
 野球でいう守備みたいなものですね。現実の出来事とかフィクションや空想の主観的体験とかから常に千本ノックを受けているような状態なのかも知れない。

 兎も角、何かAメロが自分の中の何かと共鳴した途端に歌がスラスラと出て来て、まとまりのなかったBメロの構成も決まり、そして全くハロウィン的な雰囲気のないCメロが敢えて大胆な仲介役を申し出たことによって、自分の中の温度のある連想とも上手く噛み合ったストーリー(と言っていいのか)が出来上がってくれました。


 録音も、いつも血豆を作って全身バキバキになりながら何テイクも何テイクも重ねて制作するんで、この曲もベースラインとか結構踏ん張ったんですが、同時に豆が出来たら一旦5弦ベースを置いて、後日治ってから弾き直したりと、曲のコンセプトに相応しくちょっと気楽なノリで進めることも出来ました。

 おかげで一種の企画ネタとして思いつきで作ったような滑稽な歌であると同時に、胸を裂くような情感も籠めることが出来たな。という自己評価になっております。


 以上、制作秘話でした。

 因みに“BJSE”みたいな可変拍子って、奇を衒ってる感じになるし、単純な2コードをぐるぐるする方がサイケデリックなんじゃ~!という考えからやって来なかったんですが、こうして作ってみると想像以上に様になって吃驚。

 そして、今回収録した弾き語りが正にその循環コード系で、別の側面の良さを同時に出せたという点で、自分では最も達成感を感じています。

 弾き語りは両方ともソロのSoundcloudにアップしました。
 上のは“地べたの味”のCメロのサイドヴォーカル、下のは“くらげ”のセルフカヴァーです。(ボーナス・トラックは“ドゥードゥリア”のセルフカヴァー。)

 “地べたの味”の方は、弾き語りしたのにエフェクトかけただけなんですが、西海岸のサイケバンドのレコードにぽつんと入ってそうな音像になって満足。

 ハロウィンが終わっても、“BCSE”や“13月への白い虹”をはじめとするこのEPの収録曲を宜しくお願い致します。
 次はバンドで録音したものを発表出来るよう、引き続きがんばります。

 メルシーダンケアリガトー。


文責:佐藤直哉